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「小さなつぶやき」
2008/8/6
●銀磨きに歯磨きはダメ!
「銀磨きするのにわざわざ銀磨き剤買う必要ないわよ。歯磨き使えばいいのよ。練り歯磨き使えばピッカピカ。もともと人間の口に入れること考慮して作られてるから安心安全だし...」
いまだに、こういう無責任なことを書く方がいらっしゃるようで困ります。これ、トンデモナイ間違いです。最初にそのことを強調しておきます。理由は簡単です。たとえば、歯磨きの中でも根強い人気の「ソルト塩歯磨き」。こんなのを銀磨きに使うなんてダメであります。塩分は銀器にとって決して好ましい存在ではないのですから。
中世から近世にかけて英国貴族の食卓で一番華やかな銀器のひとつが塩入れです。しかし、実際に塩を置く部分には必ず、金が掛けられています。金メッキです。純銀に金メッキ。「塩入れには必ず金メッキ」です。それは、なぜか。銀の表面に塩分が長期間付着したままだと、いつしか銀の表面をいためることになるからです。
ということは、もう、お分かりですね。「ソルト塩歯磨き」を銀器につけて布でシコシコ磨くなんて絶対ダメ、ということです。磨いた時点、その一瞬はキレイになるでしょう「表面的には」。でも、これを繰り返していくといつか、塩分が銀の表面を劣化させていくこと確実です。
「ソルト塩歯磨き」は一例に過ぎません。歯磨きは数えきれないほど多種多様なものが発売されています。そのすべてについて、どんな成分が配合されているかなど、調べようもありません。もちろん、人体への安全を第一に開発されていること、当然のことでしょう。しかし、人体に安全であること必ずしも「銀器にとって安全」とは限りません。
「銀磨きには、歯磨きをつかうといい」この話、私が大学生の頃から、婦人誌の「主婦の節約術」とか「おばあさんの知恵」みたいな欄に書かれていたことを思い出します。あれからもう三十年以上が経過しているのに、いまだにこんなことを、節約術みたいに言ったり書いたりする方がいらっしゃるのは驚きです。いかに日本に銀器が根付いていないか、それを象徴しています。異文化ですから仕方ありませんけれど。
今どき、東急ハンズやホームセンターのような店に行けば、銀専用の磨き剤はいくらでも売っています。決して高価なものではありません。銀器には専用の銀磨きをお使い下さい。
忘れてました。最近外国のハミガキの中には人体に安全とはいえないものもあることを。銀のつぶやき第68回をお読み下さい。
■以下、変更なしです。
このページをご覧になっていらっしゃるのは多分、一度は「英国骨董おおはら」にご来店のお客様だと思います。でしたら、店で、私の姿を見たことがある、という方も少なくないはずです。
お客様に対して「いらっしゃいませ」と言ったきりで、とくに話しかけてくるわけでもない。なんとなく、とっつきにくい店主だな。そんな風に思っていらっしゃる皆様も多いことでしょう。
実際、初めてのお客様に対して、私のほうから積極的に話しかけるということは、あまり致しません。どうやら、それが一部に誤解を生んでいるようです。「ちょっと暗めで無口な店主」そんなイメージを持たれるお客様がいらっしゃるようなのです。
初めてこの話を聞いたときには、私自身びっくりしました。が、より驚いたのは私の近くにいる人々です。全員爆笑。当然です。どう考えてみても、その正反対のタイプですから本人は。まだ私が小学校低学年の頃、叔母が怖い顔で、こう言いました。
「千晴、お口にチャックしなさい!」
というわけで、ここでは、アンティークシルバーに話題を限らず、大原千晴という男が、古い銀器に囲まれながら、一体何を考え考えているのか、その胸の内を少しだけ皆様にお話ししたいと思います。題して「銀のつぶやき」。 |
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